日本を取り巻く安全保障環境は年々厳しさを増していますが、その流れがコロナ禍の最中に一気に加速しています。
3月25日に弾道ミサイルを発射し、また拉致問題も続いている北朝鮮の存在以上に、近年超大国となり、ますます周辺国を軽視した行動をとり、日本の領土への圧迫を堂々と行っている中国の存在が、今後50年間の日本の外交安全保障政策上の最大の焦点となります。
鄧小平が始めた改革開放以降の40年間で、中国のGDPは200倍となり、国防費は公表されている分だけでも60倍となっています。コロナ禍に日米欧の先進民主主義諸国が手を焼いている間に、中国はその一党独裁システムをフルに活用して、コロナの抑え込みに成功しているようであり、また中国産のワクチンによって、中国国内でのワクチン接種数は3月末時点ですでに1億回を超えていると報告されています。そして中国は、コロナワクチンの供給と引き換えに、トルコ対してはトルコに逃れているウイグル人を送還するよう求め、パラグアイに対しては台湾との断交を交換条件にしているとの報道もされています。香港問題やウイグル問題にも現れているように、自国の利益を追求するために、国際世論からの批判を厭わない中国の姿勢が鮮明になっています。
この中国を隣国とする日本は、安全保障に関してもっと危機感を高めなければなりません。もちろん、だれもこの強大な中国との紛争は求めていませんし、実際に紛争になれば日本に勝つすべはないでしょう。中国が国際的なルールを順守し、他国や人権を尊重するよう外交的なアプローチを強化するのと同時に、同盟国である米国をはじめ、自由・民主主義・法の支配という共通の理念を持つ国々との協力を密にし、国際社会が一致団結して、中国の現状を変えようとする試みを事前に抑止しなければなりません。
ますます困難を極める外交・安全保障政策を政争の具とするようなことがあってはいけません。現実路線で日本の平和と安全を守る外交・安全保障政策に取り組んで行きます。