新型コロナウイルス感染症への対策として、慣れない在宅勤務を行ったり、気軽に買い物や外出が出来なくなったりしており、仕事や生活に新たなストレスが生まれていると思います。私自身、サラリーマン時代に時々週末に寮でパソコンを開きリモートで仕事をしようと挑戦したことがありますが、毎回まったく集中できずに、結局休日出勤してオフィスで仕事をすることにして、なんだかんだ余計に時間がかかりへこんでいた記憶があります。
感染者数が大幅に減り緊急事態宣言が解除されれば、会社への通勤や外食、観光などがある程度は再開できるかもしれませんが、新型コロナウイルスのワクチンの開発にはこれから2年程度の期間を要すると言われており、たとえ一時的に感染が抑え込めたとしても、有効なワクチンの接種が行きわたるまで、長期間にわたり社会的な接触を少なくする必要性はしばらく変わらないと考えるべきです。
まさに、コロナウイルスによって私たちの生活様式が強制的に変容を迫られているわけですが、この危機に上手く適応できるかどうかが、これから10年の私たちの健康や経済活動を大きく左右することになると思います。コロナウイルスを完全に抑え込むまでの間、私たちの日々の営みを止めないために、現在の危機から学び、私たちの意識や社会を上手く変化させていくべきだと思います。
例えば、在宅勤務しやすいように日本の住環境を改善することが必要です。そのためには東京や大都市圏への過度な集積を改め、地方部に経済活動を分散することも必要でしょう。にわかにテレビ会議システムやチャットシステムを導入してリモートワークを行う企業が増えていますが、リモートワークの導入を成功させることで、このような経済活動の分散に加えて、より柔軟な働き方を実現し人口減少が進む日本で労働力を確保する、生産性を維持し向上させることが可能となります。
「社会との距離を取らなければならない」という新しい生活様式に合わせた、またそのような窮屈さやストレスを解消するビジネスを発展させていくことも重要です。観光業などで売り上げと雇用の減少が長期間にわたることが見込まれるからこそ、在宅時に必要な・便利な新しいサービスを開発提供するベンチャービジネスの活性化の必要性がさらに高まると思います。特に、デジタル技術を活用したサービスが重要になるでしょうから、抜本的にデジタル教育を拡充する必要もあります。
また、これまでも繰り返し警鐘が鳴らされてきた日本の食料自給率の低さを、より現実味をもって改善していく契機になると思います。平和で安全なグローバル社会が保障する自由貿易によって日本は安く国民の胃袋を満たし、生活必需品までも海外の工場に頼る社会を築いてきました。今回のコロナ騒動を通じて、食品や生活必需品、そして医療関係の物資までを輸入に頼っていては国民の生命を守れないという認識が広く共有できたはずですから、こういった食料自給率の向上と必需品の生産の国内回帰に向けて、これまでの取り組みを凌駕する施策を実施することができるようになると思います。長期化するであろうコロナウイルス感染症との戦いのために、そして次の新しい危機に備えて、こういった生産の国内回帰を進めて行くことが必要です。
働き方や教育、余暇の過ごし方の他にも、危機時の政府・行政の機能と国民生活への介入の是非、選挙活動のスタイルなど、戦後日本であまり変わらず、変えられずに受け継がれてきた私たちの社会の仕組みを、技術の発展や社会の変化に合わせて変革していく契機とし、コロナ後も見据えた改革を実現していくことが、政治がこれから果たしていかなければならない役割だと思います。
新型コロナウイルス感染症による休業などで困っている事業者、労働者の方々の声を聞き制度の拡充や簡素化を政府・行政に働きかけながら、一方でこういったコロナ後を見据えた政策立案にも取り組んでいきます。