皆様、あけましておめでとうございます。令和になって初めて、そして2010年代から2020年代への年越しでしたが、平穏無事に新年を迎えられましたでしょうか。4年の衆議院の任期の半分が過ぎ、本年はいつ解散総選挙があってもおかしくない年だと思います。年初に当たって、私がどのような姿勢で、どのような政策課題に取り組んでいきたいか、過去の投稿と重なる部分もあると思いますが、書かせて頂きたいと思います。
成果乏しく看板倒れに終始する安倍政権の政策
2019年11月20日をもって、安倍首相の通算の在職日数が桂太郎氏を抜き単独で憲政史上最長となりました。直近では「桜を見る会」に代表されるような様々な不祥事や、国会や立憲主義を軽視する安倍首相の姿勢に強い憤りを感じる方がいる一方、政権が安定していることを評価する方も多いと思います。
しかし私は、この「安定」の中で、安倍政権がどのような成果を残したのか、その現実を有権者の皆様に冷静に分析して頂きたいと考えています。仮に様々なスキャンダルを無視したとして、本当に現在の安倍政権の政権運営が評価できるもの、日本の未来を切り開くものになっているのでしょうか。私は決してそのようには思いません。
安倍政権の政権運営は、端的に言って「今が良ければよい」というものです。経済政策を金融緩和に頼り切っており、日本の経済と金融システムは、異次元の金融緩和とマイナス金利政策によって、いつ破裂してもおかしくない爆弾を抱えているような状況に追い込まれました。
第二次安倍政権が掲げた政策目標には、「合計特殊出生率1.8」「地方創生」「名目GDP600兆円」などがありましたが、いずれも看板倒れに終わっています。出生率は1.8に近づくどころか、安倍政権の6年間で下がり続けて、2018年には1.42にまで落ち込み、令和元年の出生数は、明治時代に統計を取り始めて以降で最低の数字になる未曽有の危機的状況です。地方創生の掛け声もむなしく、東京一極集中と地方の人口減少は一向に止まる気配がありません。日本の一人当たりGDPと国際競争力の順位も下がる一方です。
明らかに機能していない現在の政策体系を抜本的に見直して日本の未来を切り開く。そのために、私たち国民民主党は政権交代による政治の大きな変化が必要だと考え、活動しています。
少子化の進行に象徴される日本の構造問題を解決する
日本の社会・経済の機能不全を最も象徴している問題の一つが、「少子化」です。
人口と企業活動の集中が進む東京圏や、大阪、名古屋などの大都市圏では危機感が共有されにくいかもしれませんが、少子化や若年層の人口流出は国土の大部分を占める地方自治体を蝕んでいます。今後、最も人口が減ると言われている都道府県は秋田県ですが、秋田県では2040年には人口が今の約3分の2になり、そして残った人口の約3分の1は75歳以上で占められることになります。もちろん、経済の担い手が減少するという点や、社会保障の原資を負担する生産者人口が少なくなるという点を踏まえれば、少子化が大都市圏を含めた日本全体にとって極めて重要な問題であることは理解いただけると思います。
「少子化」の背景には、
- 他の先進国に比べて低く、低下傾向の賃金水準
- 地域間格差と東京圏への一極集中
- 子育て支援施策の不足、女性の社会参画と男性の育児参画の問題
- 社会保障制度の持続可能性に対する疑義
など、日本が抱える様々な社会課題があるため、少子化問題の解決を目指すことは、これらの構造問題を解決することと同義です。
一概には言えませんが、出生率は都市部で低くなり、地方部で高くなる傾向があります。特に、東京都の出生率は全国最低であり、若年人口が東京圏に一極集中することが出生率の押し下げ効果を生じさせていると考えることは理にかなっていると思います。生まれ育った、そして家族のサポートが得やすい地域で働き、家族を持ち、子育てができる状況を取り戻すために、地方部での就業機会の創出や、都市部と地方部の賃金格差の是正に取り組み、東京圏への一極集中の流れを止めることが重要であると考えています。
最低賃金の引き上げと、全国一律化を!
地方部での就業機会を増やし、若年人口が地方に根付くために、まずもって賃金に地域間格差がある状態を政府が率先して是正していくことが必要です。また、そもそも賃金が低いことが子育てをあきらめる最大の要因になっていることから、他国と比べて低い水準にある最低賃金をさらに引き上げ、加えて都道府県ごとに決められている最低賃金を全国一律にして、賃金水準の底上げと東京圏一局集中の是正を目指した改革の実現に取り組みます。
また、特に高学歴の女性が都市部に流出しているという現実があるため、そのような人材の活躍の場となるような雇用を地方に生み出さなければなりません。企業活動が東京圏に集中しつつある状況を是正すると同時に、無制限の転勤を前提とした大企業の人事形態を改め、勤務地域ごと、職種ごとに採用を行う人事形態に転換を促すことが重要であると考えています。
私は2015年から2016年の間、米国議会にて勤務するために米国の首都のワシントンDCに滞在していましたが、同年代の若者と話していると、ニューヨークやロサンゼルスといった大都市に住みたいといった意見は少なく、地元で就職し人生を送りたいという人が大半でした。このような選択肢が大勢になる背景には、米国での採用の殆どが転勤を前提とした本社一括採用ではなく、職種と勤務地が特定された形式であることがあります。そのため、地方の優秀な大学の人材を採用するために、大企業がその街に研究開発や製造の拠点を作ることも多いです。このような海外の例も参考にしながら、若年人口を引き付ける上で極めて重要な雇用機会が地方部にもいきわたるよう、経済界や労働界と共に取り組みます。
改革を実現する「仕組み」を作る
上記のような所得面での阻害要因を取り除くことと同時に、働きながら子育てができるよう保育などの子育て支援サービスを拡充することはもちろん、子育ては専ら女性が行い、家計は専ら男性が支えるという固定的な性差に基づく役割分担の是正に一層取り組むことが、非婚化・晩婚化の是正と、希望の数だけ子供を産み育てることができる社会を作る上で重要です。
また、すでに先進国で最悪となっている財政状況と、ますます進行する高齢化と社会保障支出の増大を背景にして、「年金をはじめとする社会保障のサービスが破綻するのでは」と多くの若者が疑念を抱いている状況も、結婚、子育てという大きな一歩を踏み出させることを難しくしています。
社会保障制度に関しては、「老後資金2000万円報告書」の取り下げ騒動や、将来の公的年金の財政見通し(財政検証)の公表時期を7月の参議院選挙後にずらした問題が記憶に新しいですが、そもそも、給付カットと消費増税が将来の社会保障制度に関するビジョンを提示することなくちぐはぐに行われる状況が長きにわたって続いていることが問題です。社会保障制度改革を実現するためには、負担増などの国民にとって耳障りなことにも政治家は真摯に向き合わなければなりません。
財政赤字による補填を続けて将来世代に対するツケで現在の社会保障制度を維持するという無責任極まりない政治の姿から一刻も早く脱却するためにも、
- 制度の現状を分析し国民の皆様に真摯に説明し、
- 改革案に関する議論は中立性を保った組織で行い、
- 長期的なビジョンを伴った改革案を与野党で合意し政治状況に関らず粛々と改革を実行する。
というようなプロセス通じて、社会保障制度改革を含む様々な構造問題の解決に責任をもって取り組み、誰にとっても安心安全な日本の未来を切り開いていきます。
また上記外にも、下記のような改革の実現を目指してまいります。
自公政権に代わる確かな選択肢を作ることが、私たち国民民主党の責務、存在意義です。来る次期衆議院選挙に向けて、私たちの理念や政策を知っていただけるよう、引き続き活動を続けてまいります。
本年も、国民民主党滋賀県第1区総支部と斎藤アレックスの活動に、ご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い致します。